スムーズジャズ初心者におすすめ!名曲の楽しみ方

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スムーズジャズ入門!初心者におすすめの名曲と楽しみ方

スムーズジャズ入門!初心者におすすめの名曲と楽しみ方

SPECIAL ARTICLE

著者

著者・飯島 均

飯島 均

筆者は中学生の頃からロック少年。特にクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)、エルトンジョンをよく聴いたものです。今でもロック好きで、ピンク・フロイドをよく聴きます。 年齢とともに好みのジャンルが変わり、現在では、スムーズジャズを中心に色々な音楽を聴き、楽しんでいます。スピーカーはジャズにあうJBLを使用。

はじめに

スムーズジャズはジャズのジャンルの1つで、初めてこの言葉を使ったのは1980年代末のアメリカのラジオ局と言われています。

ちなみにスムーズジャズは、フュージョン、クロスオーバーから派生したというのが定説です。

1970年代の日本にはまだ「フュージョン」という呼び方はなく、ロックとジャズを融合させた音楽の事を「クロスオーバー」と言っていました。
ジャン・リュック・ボンティというフランスのヴァイオリニストで、主にジャズ・フュージョン分野で活躍している演奏家がいます。彼がインタビューで「複合音楽の事を、我々はフュージョンと呼んでいます」と答えたことで、その呼び方が定着しました。

そのフュージョンも80年代末になると飽きられてしまい、より大衆化し販路拡大できるような新ジャンル名が必要になりました。そこで誕生したのが、スムーズジャズです。

これは時代の流れで呼び名が変っただけであり、フュージョンとスムーズジャズを明確に区別する必要はないというのが筆者の考えです。
本特集ではより広い視野に立ち、クロスオーバー時代からの名アルバムを12枚、筆者のおすすめをリストアップし、紹介しています。なお、12枚のアルバムは発表年が古い順に並べており、アルバムの優劣で並んでいる訳ではありません。どれもが素晴らしい名曲ばかりです。

12枚の名アルバム:クロスオーバー~スムーズジャズ

Keith Jarrett「The Koln Concert」(1975)

The Koln Concert・画像

キース・ジャレットは1945年5月、ペンシルベニア州アレンタウン生まれ(79歳)の世界的ジャズピアニストです。3歳でピアノを始め、7歳の時には既にリサイタルを開くほどの腕前でした。残念なことに近況は2018年、2度の脳卒中を発症、麻痺状態でほぼ復帰は不可能のようです。
「ケルンコンサート」は名盤中の名盤です。キースは72年に完全即興のソロコンサートという画期的な試みを打ち出しました。日本でもHondaのCMでそのサビの部分が使われており、聴いた事がある方もいるでしょう。即興であれだけのメロディーが出てくるのは、驚きです。

David Sanborn「Taking Off」(1975)

Taking Off・画像

デヴィッド・サンボーンはフュージョン界で活躍するサックス白人奏者で、歌うような音色から「泣きのサンボーン」とも呼ばれています。幼少より小児麻痺にかかり、医師の勧めでリハビリを兼ねてサックスを始めました。10代半ばで、アルバート・キング(ブルースギタリスト)と競演、ローリングストーンズのアルバムにもゲスト参加しています。
「テイキング・オフ」はサンボーンのデビューアルバムです。筆者のおすすめは、少し荒削りなところがある初期の作品。2曲目「'Way' Cross Georgia」は、心に沁みる名曲です。

Grover Washington jr.「Winelight」(1982)

Wineligh・画像

グローバー・ワシントン・ジュニアはフュージョン界を代表するサックス奏者で、スムーズジャズの父としても知られています。音楽一家の元に育ち、10歳でサックスを始め、1999年12月心臓発作のため逝去(※56歳没)。
「ワインライト」ではビル・ウィザースがゲストヴォーカルとして参加した収録曲「クリスタルの恋人」が大ヒットし、グラミー賞ベストR&Bソング賞を受賞しました。筆者が若かった頃は「もっと強く吹いて!」と叫びたくなりましたが、今聴いてみると、音を抑え気味に淡々と吹くサックスが魅力的です。

松岡直也「LONG FOR THE EAST」(1983)

Winelight・画像

松岡直也はラテン・フュージョン音楽の第一人者であり、活動は多岐に渡ります。7歳の頃から独学でピアノを弾き始め、15歳でピアニストとしてプロデビュー。1972年にはテレビドラマの主題歌「太陽がくれた季節」の編曲し、第14回日本レコード大賞・新人賞受賞しました。その他にもANNニュースのテーマソングを作曲、中森明菜に提供した「ミ・アモーレ」では、作・編曲を手掛けています。2014年4月、前立腺癌のため逝去(76歳没)。
「ロング・フォア・ザ・イースト」1曲目、「The Latin Man」のヴォーカルは、久保田利伸が担当。この頃の久保田には、まだ声に伸びがありません。2曲目、「LONG FOR THE EAST」は、松岡のやさしいピアノと和田の重厚なギターの絡みが最高です。

Dave Koz「The Dance」(1999)

The Dance・画像

デイブ・コーズは、カルフォルニア州ロサンゼルス、サン・フェルナンド出身のサックス奏者。兄に倣ってサックスを始めます。大学卒業後にアメリカのシンガーソングライター、ボビー・コードウェルの知遇を得て、「ハート・オブ・マイン」のバックを務め、プロの道に進みます。
「ザ ダンス」4曲目の「ケアレス・ウィスパー」は、イギリスのポップヂュオ「ワム」がヒットさせた曲。甘く鳴るサックスがとてもいいです。

松居慶子「Cherry Blossom」(1992)

Cherry Blossom・画像

松居慶子は、筆者が最も好きなジャズピアニストです。5歳の頃からピアノを弾き始めて、14歳で第4回ヤマハ・ジュニアオリジナルコンサートに出場。自分の演奏したい音楽が日本では売れないことに気づき渡米。1987年に発表した自主制作アルバム「A Drop Of Water」で全米デビューを果たします。本作は「ロサンゼルス・タイムズ」や音楽専門誌が絶賛。その後、発表した全てのアルバムがビルボードのコンテンポラリージャズチャートで15ヶ月以上ランクインしました。
「チェリーブロッサム」彼女はピアニストでありながら他の楽器の音もアルバムも取り入れています。そして、そこが素晴らしい所です。1曲目「Rainy Season」は物悲しい雰囲気と、ピアノとサックスの絡みが絶妙です。2曲目「Sail South」は、トランペットの音が加わります。

「ディープブルー」筆者が松居慶子を始めて聴いたのがこのアルバムです。今まで聞いたことがない不思議なリズムに驚愕したことを鮮明に覚えています。1曲目「ディープブルー」は、ピアノの美しい旋律にベースが絡んできます。3曲目「アクロス・ザ・サン」はピアノソロで、こういうメロディーがよく生み出せるものだと感心しました。9曲目「トウ・ザ・インデアン・シー」はピアノに尺八の音が加わり、圧巻です。

Dotsero 「West of Westchester」(2000)

West of Westchester・画像

「ドツエロ」はコロラド州のロッキー山脈にある山間の町に由来する名前です。当初はスティーブン・ワッツ(サックス)とデヴィット・ワッツ(ギター)の兄弟で始めたグループですが、現在はデヴィットが脱退し、サックス・キーボード・ギター・ベース・ドラムスの5人編成で活動。魅力は数本の管楽器を使い分けるスティーブンにあります。は聴いていて心地よいバラードナンバーは必聴です。
「ウエスト・オブ・ウエストチェスター」このアルバムは全体を通じ、良い意味で「悲しい」の一言。思い切り、泣きたい女性におすすめです。スティーブンのサックスはもちろん、キーボードとの掛け合いも秀逸です。筆者は特に2曲目「Lodo Mojo」が心に響きます。

Norah Jones「Come Away With Me」(2002)

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ノラ・ジョーンズはアメリカのピアノ弾き語り、ジャズピアニスト。父はインドで最も有名な音楽家であり、ビートルズ・ギタリスト、ジョージ・ハリソンにも影響を与えたシタール奏者のラヴィ・シャンカールです。やはり、血は争えません。
直近では2022年10月に来日公演を行いました。
「カム・ア・ウェイ・ウィズミー」は彼女のデビューアルバムであり、全世界で1,800万枚を売り上げ、グラミー賞では主要3部門を含め、ノミネート部門全てで受賞。筆者が初めてこのアルバムを聴いた時は何も残りませんでしたが、聴き込むほどにその良さが分かってきました。特に9曲目、「I‘ve Got To See You Again」がおすすめ。バック歌手とのハーモニーが絶妙です。

T-SQUARE「宝曲」(2010)

宝曲・画像

T-SQUARE(通称スクエア)は、1976年の結成以来、45年間続いているユニットです。スクエアのほとんどの曲を手掛けてきたメロディーメーカー、ギタリストの安藤まさひろは、曲ができなくなった事を理由に21年に脱退しています。また、黄金期の元メンバー、ピアニストの和泉宏隆(62歳)は21年4月、心不全で逝去。それを悼んで2023年、和泉の楽曲を演奏する特別公演「T-SQUARE plays Music of HIROTAKA IZUMI」がBlue Note Tokyoで開催しました。仲間思いであることも、このユニットの魅力です。
「宝曲」は彼らの過去の名曲を集め、新たに録音したもの。F1テーマ曲であった8曲目「Truth」は誰もが1度、耳にしたことがあるでしょう。安藤の重厚なギターが光ります。11曲目「It’s Magic」は伊藤たけしのサックスが爆発、大好きな曲です。

Jessy J 「Hot Sauce」(2011)

Hot Sauce・画像

ジェシー・ジェイはアメリカ、オレゴン州ポートランド生まれの女性サックス奏者。名前はJessyの「J」とJazzの「J」をとってつけたそうです。歌手、女優、ダンサーとしても活躍しており、かなりの美人です。4歳でピアノを始め、15歳の時にベラバルトークフェスティバルで優勝。学生時代にジャズ研究の学位を取得、「最も優れたジャズ学生」に選ばれています。
「ホット・ソース」は彼女のサードアルバム。女性ながら力強く鳴るサックスに感心します。3曲目のタイトル曲「ホット・ソース」はアコースティック・ギターとサックスの絡みが最高です。10曲目の「ラスト・ナイト」ではフュージョン界の大御所、ピアニスト・ジョーサンプルがゲスト参加しています。

Phil Denny 「Crossover」(2012)

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フィル・デニーはその芸術性、存在感、情熱が評価されているサックス奏者です。フロリダで産まれたデニーは、母親に大きな影響を受けサックス奏者の道を歩みだします。2012年に「クロスオーバー」でデビューし、2022年までの間に2回ビルボードで1位を獲得しました。
「クロスオーバー」はフィル・デニーのデビューアルバム。全10曲、全てが素晴らしいですが、特に7曲目「Crossover」と8曲目のバラード「When We Ware Friends」がおすすめ。聴いていると興奮します。

Vincent Ingala 「Can't Stop Now」(2012)

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ヴィンセント・インガラはアメリカ、コネチカット州生まれのサックス奏者。(32歳)
DJの父親から4歳の時にドラムセットを贈られたのが音楽を始めたきっかけです。
19歳の時に「North End Soul」でデビュー。素晴らしい才能を感じます。
「キャント・ストップ・ナウ」は彼の2枚目のアルバムです。1曲目「キャント・ストップ・ナウ」は力強く振り絞るようなサックスが心に染みます。2曲目「リード・ビトイン・ザ・ライン」はやさしいピアノと力を抜いたサックスの絡みが秀逸です。

まとめ

本特集を執筆する過程でわかった事があります。それはキース・ジャレットが再帰不能になったという事実です。あれだけ才能があったミュージシャンなのに「なぜ?」と、寂しい気持ちになりました。また、亡くなっているアーティストも。松岡直哉の逝去は知っていましたが、ジョーサンプル(2014年9月、75歳没)、ラヴィ・シャンカール(2012年4月、92歳没)も亡くなっていました。

今回ご紹介した13枚のアルバム・アーティスト以外でも、人気のあるスムーズジャズ演奏家はたくさんいます。例えば、ケニーG、ブライアン・カルバートソン、ニルズ等もおすすめです。是非自分の好きなアーティストを見つけ、そのミュージシャンの生い立ちや楽曲を追いかけてみてください。

スムーズジャズの特徴は、耳ざわりの良い点です。オフィスBGMにもなり、ずっと聴いていても飽きません。そして他のジャンルと比較しても、力を抜いてリラックスした状態で鑑賞できるはずです。

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