子供なし・40代女性のリアルな離婚体験記

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子供なし・40代女性の離婚体験記(後編)

子供なし・40代女性の離婚体験記(後編)

SPECIAL ARTICLE

著者

著者・疋田 陽子

疋田 陽子

40代後半で離婚を経験したライター。自身の離婚までのプロセスや気持ちを書き残しており、離婚を考えている/迷っている方のために、いつか体験談を書きたいと思っていた。離婚を選択したことに一切の後悔はない。

はじめに

本特集は、「子供なし・40代女性の離婚体験記(前編)」の続きです。

前編では、子供なし・40代で離婚を経験した筆者(女)が、離婚を考え始めたきっかけや離婚を決断するに至るまでのプロセスをお伝えしました。まだお読みになっていない方は、ぜひご一読ください。

さて、本記事では、離婚のプロセス(準備・進め方)とその時の思いや、離婚後の生活と自分との向き合い方、また、離婚を考えている子供なし・40代女性の方に向けて、離婚経験者ならではのアドバイスをお届けします

「離婚」は、離婚届を出して終わりではありません
結婚生活を「思い出」として振り返ることができるようになるまでは、意外と時間がかかるものです。

子供なし・40代での離婚を考えている女性の方は、後悔のない決断をするために、焦らず、ゆっくりと自分の気持ちと向き合いつつ、ぜひ本特集を参考にしてみてください。

子供なし・40代女性の離婚体験記 その3
離婚のプロセス(準備・進め方)とそのときの思い

話し合いのみでスムーズに進む離婚もありますが、弁護士などの第三者を交えての話し合いが必要な場合も多いでしょう。特に後者の場合は、客観的な証拠や、夫婦間の資産の把握など、前もって準備をしておくことが重要です。
本チャプターでは、離婚に向けてのプロセス(準備・進め方)や、その時の思いなどを具体的にご紹介します。

離婚をするための準備

①経済的に自立する

筆者が離婚をするうえで痛感したのは、「経済的に自立していなければ、離婚は難しい」ということでした
自分が引っ越す場合は、引っ越し代はもちろん、引っ越してからの家賃や生活費なども考えなければなりません。また、弁護士への依頼が必要な場合、弁護士料もかかります。配偶者の不貞による離婚の場合は、興信所へ依頼する場合もあるでしょう。

そのため、離婚を切り出す前に、まず「経済的自立」を考え、なんらからの仕事を得ておくことが大切です。ただし、自分の専門性やスキルにもよりますが、40代女性の場合、年齢による仕事の減少は否めず、離婚後すぐに仕事が見つかるとは限りません。

ちなみに筆者の場合、離婚は突然のことで、離婚を進めるまであまり時間がありませんでした。また、当時は働いてはいましたが派遣社員で、貯金も「雀の涙」の状態。興信所や弁護士への依頼が必要だったため、貯金を使い果たすことになり、きちんと貯蓄をしておくべきだったと反省しました。

DVなどですぐに家を出なければならない場合を除き、前もって貯蓄しておくことをおすすめします

②日記をつける

離婚をするうえで問われるのが「離婚理由」です。配偶者が生活費を払ってくれない、DV、モラルハラスメント、浪費癖など、離婚を考える理由は様々ですが、日々の生活で「離婚理由」につながる出来事を日記に書き、記録しておきましょう

日記は、「離婚理由」を裏付けるための証拠となります。

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筆者は前編の記事でお伝えしたように、離れて暮らし始めてから元配偶者が「彼女」を作り、その出来事が決定打となり、離婚することになりました。
ただ、その前に「しばらく別々に暮らしたい」とお願いをしたのは筆者なので、その間、元配偶者を一人にさせてしまったことに関しては、筆者にも反省すべき点があったと思います。

しかしながら残念だったのは、「彼女」がいることが発覚してから、夫婦関係の再構築を話し合い、筆者が元配偶者のもとに戻ると決めたあとも、元配偶者が彼女との関係を清算できなかったことでした。

そのため、大変悩んだ挙句、けじめとして慰謝料を請求する選択をしましたが、焦点は「別居中でも夫婦関係が破綻していなかったか」ということ。夫婦関係が破綻した上での別居では、配偶者が他にパートナーを作っていても、慰謝料は請求できないのです

その時に役に立ったのが、筆者の母親がつけていた日記と、筆者のFacebookの記事でした。母親の日記には私が元配偶者のもとに帰省していた期間が記載されており、筆者のFacebookでは、帰省をした際に、元配偶者と行った旅やデートの記録がわかるようになっていたのです

この2つを組み合わせ、証拠として弁護士の先生に提出し、「別居中でも夫婦関係は破綻していなかったこと」を証明してもらうことができました。

③離婚する際の法的な手続きを調べ、証拠を収集する

離婚をする場合、今後の生活の経済的な見通しを立てるためにも、法的な手続きを調べることは大切です。また、円滑に手続きを進めるために、証拠も収集しておきましょう

①法的な手続き

財産分与:請求期間は、離婚をした時から2年以内

「財産分与」とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産(共有財産)を、離婚の際に分け合うこと。基本的に収入の差は関係なく、専業主婦であっても、家事労働により財産形成に貢献したと考え、財産分与を受けることが可能です。
具体的に、以下のようなものが共有財産の対象となり得ます。

  • 不動産
  • 現金・預貯金
  • 保険
  • 退職金
  • 年金

など

婚姻費用:請求期間は離婚するまで

「婚姻費用」とは、夫婦の収入や社会的地位にふさわしい生活をするための生活費のこと。婚姻期間中は、お互いの収入や家庭内の役割に応じて婚姻費用を分担する義務があり、収入の高い配偶者は、低い方の配偶者に一定の生活費を払う義務があります。
婚姻費用に含まれるのは、住居費、食費や光熱費などの生活費、医療費など。
配偶者との関係が悪化したことで別居し、生計が分かれた際など、婚姻費用の分担請求をできる場合があります。

年金分割:請求期間は、離婚をした時から2年以内

「年金分割」とは、夫婦が婚姻期間中に積み立てた厚生年金や共済年金の記録を分割できる制度のことです。
年金分割には以下の2種類があります。

  • 合意分割制度
    夫婦の両方が厚生年金を支払っていた場合に適応。割合は最大50%。話し合いによる割合の決定が必要ですが、合意に達しなかった場合は、家庭裁判所の審判、または調停での判断となります。
  • 3号分割制度
    夫婦の一方が専業主婦(あるいは主夫)だった場合に請求が可能。合意は必要なく、一方的な請求ができます。
  • 国民年金は対象外

その他

離婚に至った原因行為(浮気や暴力など)、または離婚すること自体から精神的苦痛が生じた場合、慰謝料を請求できるケースがあります。
上記の法的な手続きは、夫婦間の話し合いで進めるのが難しいため、弁護士に間に入ってもらうとスムーズでしょう。その場合、弁護士費用も考慮した「費用対効果」を考えることが大切です。
なお、金銭的な事情で弁護士への相談が難しい場合、無料で法律相談を行い、必要に応じて弁護士費用などの立替えを行う「法テラス(日本司法支援センター)」を利用するのも方法です。
法テラスは国によって設立された機関ですので、気になる方はチェックしてみてください。

②集めておくべき証拠

  • 預貯金通帳(通帳のコピー)
  • 所得を証明する書類(給与明細、確定申告書類など)
  • 不動産登記簿
  • 生命保険に関する書類
  • 不貞やDVなど場合、怪我の写真、浮気相手とのメールのやりとりなど

離婚するにあたって感じた思い 

筆者は、法的な手続きは慰謝料請求しかしませんでした。理由は、精神的・体力的にも消耗が激しく、法的な手続きについて冷静に考えられなかったからです。

特に財産分与は夫婦間の話し合いが必要になりますが、筆者の元配偶者が離婚までは望んでおらず、相手の協力が得られなかったこともあります。また、弁護士への依頼も考えましたが、費用対効果を考慮した際、弁護士費用の方が高くつく可能性もあるため、財産分与は請求しないことを選択しました。

ただ、今思うと、法的手続きについて、もっと冷静に考えるべきだったと感じています。

とはいえ、今であれば、もう少し法的な手続きについて冷静に考えられたと思う反面、離婚へと進む「勢い」が失われてしまったのも確か。

財産分与や年金分割は離婚してから2年以内であればできますが、可能であれば勢いのある時に、辛くとも、必要な法的手続きについてはしっかりと考えておくことをおすすめします。

離婚には、「一人で生きていく」決意が必要です
その際、経済的な余裕があるのとないのとでは、気の持ちようがまったく違ってくることを、心にとどめておくとよいでしょう

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子供なし・40代女性の離婚体験記 その4
離婚後の生活と自分との向き合い方

離婚経験を通して、筆者は否が応でも自分と向き合うこととなりました。ここでは、離婚後の筆者の生活や気持ちの変化、自分との向き合い方についての体験をお伝えします。

離婚届を出した日

筆者が離婚届を出したのは、自分の誕生日の1日前でした。その日は曇りでもなく、晴れでもない、どことなくすっきりとしない天気だったのを覚えています。

元配偶者の家に残していた荷物を午前中に片づけ、引っ越し業者に荷物を引き渡すと、離婚届を持ち、その足で市役所へ。元配偶者は仕事だったため、離婚届をテーブルに置いておくようにお願いしていました。

無事に市役所に離婚届を提出した帰り道のこと。長い一本道を歩いていた時、突然胸が空っぽになったような「虚しさ」に襲われます。
泣きたいけれど、泣けない。でも胸が苦しくて仕方がない。
それは片方の翼をもがれたような、少し前までそこにあったのに、もう二度とは戻ってこない「家族」というものへの、なんとも言い難い、空虚な気持ちでした。

日々自分と向き合う

離婚届を出してからしばらくは、心が落ち着いたと思っても、また感情の大波が襲ってくる日々。

カウンセリングに通っていたとき、カウンセラーの先生から、「離婚は自分が思っているよりも長期戦で、自分の心を癒すには時間がかかる」と教えられていたのを、実際に肌で感じることになりました。

なかでも一番の大波は、離婚をしてから2か月ほど経った時。離婚届を出した時に感じた「虚しさ」が2倍になったような空虚感が突然筆者を襲ったのです。
それだけではなく、元配偶者へのやりきれない思いや、家族を失ったことへの切なさ、言えなかった言葉への後悔などが一気に噴出し、まるで嵐のなかにいるようでした。

ですが、「心は揺れて当たり前」です。
どれだけ自分が正しい選択をしたと分かっていても、離婚で傷ついた心は簡単には治りません。

だからこそ、自分の感情から逃げずに、焦らず、ゆっくりと
そうやって日々の生活を丁寧に生きることで、筆者は多くの気づきを得ながら、自分と向き合いました

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一人で生きていく決意

離婚後、自分と向き合う中で、「これからは、一人で生きていく」という決意が固まったことが、筆者にとって大きな変化の一つでした
安定した仕事を得るために、当時の派遣の仕事を辞めることを決意。転職活動を始めます。

筆者は派遣や契約社員を多く経験してきましたが、正社員になった経験はありませんでした。しかも40代後半という年齢。

正社員は難しいことも、年齢と職歴の多さが不利になる可能性があることも承知していました。現に、派遣会社に紹介予定派遣を申し込んだ際は、「年齢と職歴の多さで、紹介できる仕事はありません」と断られる始末。

離婚をする前の筆者であれば、心が折れて諦めていたかもしれません。

ですが、「一人で生きていく」という決意は固く、粘り強く転職活動を続けた結果、運よく筆者の資格と過去の経歴を評価してくれる職場に採用されることになりました。

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まとめ

本特集を読まれた方のなかには、筆者と同じように子供なし・40代の女性で、離婚をお考えの方もいると思います。また、離婚を長く迷われている方もいるでしょう。

実際に離婚を体験した筆者からのアドバイスとして、一番大切なのは、「自分の心に従う」ことです
とは言うものの、培ってきた思い出や情が絡まり、自分の心の声がなかなか聞こえないこともあるでしょう。

そうした時は、前編でもご紹介したように、自分の思いを「書く」ことをおすすめします。
その際、きちんとした文章を書く必要はありません。思いつくことをそのまま書いていくうちに、今まで気づかなかった点と点がつながり、自分の本当の心が見える瞬間がやってきます。

また、離婚を決意した場合、経済的自立への道筋を立てておくとともに、自分の興味のある資格を取得しておくとよいでしょう
筆者の場合は、数年前に取得したTOEICスコアが、現在の職場に採用されるきっかけになりました。現在の職場は英語を使用するところではありませんが、TOEICスコアを見て、筆者に興味を持ってくれたのです。

最後に、筆者が離婚をしてから1年半が経ちますが、離婚に対して一切の後悔はありません。
離婚を通して、自分への自信や信頼を培うことができ、また、何よりも「一人で生きていく力」を手に入れられました。それは、自分に選択権のある「自由」ともいえるでしょう

今でも心が揺れるときはありますが、それは心のプロセス。「こんなものだ」と思いながら、ゆっくりと歩んでいます。

大切なのは自分で決断することです。自分の心に従えば、間違うことはないのですから。

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